スカイラインを超えて2012年08月01日 20時19分13秒

GWの長野ノスタルジックカーフェスティバルで入手した「スカイラインを超えて」。
少しずつ読み進めながら、やっと読破。

内容は、スカイラインの父である櫻井眞一郎氏の生涯が書かれている。
本を通して、スカイラインを生み出し育てた、櫻井眞一郎の哲学とも呼ぶべき真っ直ぐな思いと熱いエンジニア魂が伝わってくる。自然に逆らわぬ無理のない美しい設計。スポーツカー、レーシングカーだからといって、パワーだけに終始することなく、安全性、信頼性をしっかり確保した上で送り出す。自分の作ったレーシングカーで亡くなったドライバーがいないことが自慢だと語る様子。本を読んでて、この人が作り育てた、そのスカイラインに乗ることができて良かったと心底思う。
スカイライン・日産を離れたオーテック時代、S&S時代もその信念を曲げることなく、何事にも率先して取り掛かり、周囲を巻き込んで引っ張っていく。晩年は、時代を先取りして、福祉車輌の開発に取り組み、環境問題にも力を入れてディーゼルのクリーン化やマグネシウム電池にいち早く興味を示している。その矢先、体調を崩し心不全で逝去されるまでのその生涯がまとめられた一冊になってる。

長野ノスタルジックカーフェスティバル2012
最後は志半ばでという感じだったが、これからの世の中は、本気で取り組もうとしていた本物のエコカー(エコノミーカーではなくエコロジーカー)が求められるんだろう。
エコカーといえば、先日発表されたばかりの新型ノート。ただのダウンサイジングエンジンの燃費スペシャルだと思って、”ノートらしくない”と少しガッカリしたが、よくよく調べてみるとこの新型ノートに搭載されるエンジン(HR12DDR)は、実はものすごいエンジンかもしれない。
HR12DDRは、ミラーサイクルでわずかな燃料で効率よく走り、パワーが必要とされるシーンではスーパーチャージャーでパワーを搾り出す。ただの燃費スペシャルじゃなく実用的なパワーを併せ持つところが、いかにも実用的なノートらしい。
その程度ならどこのダウンサイジングエンジンも似たようなものかもしれないが、低燃費を追求して最新技術が惜しみなく投入されていることに驚く。
効率化のために、3気筒を採用し、ボアの加工精度を上げ、パーツ同士の接点にDLCコーティングや鏡面加工を施してメカニカルフリクションを低減。圧縮比は12.0。ノッキング対策のために、インジェクター、ピストン、バルブ、バルブガイドに至るまで随所にに工夫が施され、燃焼室の熱を徹底的に排除している(Na封入バルブなんてGT-Rっぽいところが好きだ)。HR12DDRには、どこのレーシングエンジンだよ、ってくらい力が入っている。こういったところが、昔ながらの技術の日産といった感じがする。
今乗っているノートも気に入っているので乗り換える気はないけれど、新型ノートのエンジンも良いエンジンになりそうだ。

さて、今週末、8月5日は岡谷のスカイラインミュウジアムにて、スカイラインの生誕55周年を祝しイベント「サマーフェスティバル2012」が開催される。
ゲストは元レーサーの砂子義一氏、「スカイラインを超えて」の著者、片岡英明氏、そして、開発主管の伊藤修令氏。
展示やトークショーをじっくり見ていきたいのだが、午後はアルウィンで松本山雅の試合の観戦の予定なので、早めに撤収しなければ。
そして、前日は前日で予定があり、今回も洗車は厳しいかもしれないなぁ・・・。